ADHD薬物療法の実態【ストラテラ vs コンサータ】

ADHD 薬物療法 治療

ADHDの薬物治療で用いられている主な薬には、中枢神経刺激薬であるコンサータと、非刺激薬であるストラテラがあります。これらの薬の処方については、医師の方針や取扱いの可否、薬との相性などによって、どの薬が処方されるかが決まります。1つ目の薬が効かなかったり、相性が悪かった場合に、もう一方の薬を試してみる形で処方されることもあります。

本記事では、コンサータとストラテラが、それぞれどんな薬なのかをご説明します。

コンサータ(中枢神経刺激薬)

ADHDの治療においてもっとも広く使用されてきた薬は、中枢神経刺激薬です。
現在日本で普及しているのは、コンサータ(一般名:メチルフェニデート)です。2019年には、新薬「ビバンセ」が新たに承認され、まずは小児を対象に処方が可能となる見通しです。

コンサータの主なはたらきは、脳内の神経伝達物質であるドーパミンとノルアドレナリンの濃度を上昇させることです。
この薬のはたらきによるADHDの症状への効果から、ADHDにはドーパミンやノルアドレナリン系の機能障害があることが推測されているが、確定的な結論は得られていません。

コンサータのメリット・効果

中枢神経刺激薬のメリットは、効果が素早くあらわれることであり、服用した直後から効果が実感できることもまれではありません。
また、長時間効果が続くため、朝1回服用すると、その効果が夕方~夜まで持続するため、日中に服用する必要がなく、飲み忘れが少なくなる点です。薬物の血中濃度が1日中ほぼ同じ水準に保たれるので、安定した効果が期待できます。

コンサータはADHDの子どもの70%以上において効果がみられ、多動や不注意の症状を改善します。
成人に対しても、子どもとほぼ同等の効果があります。

コンサータの副作用

コンサータの副作用としては、主に以下のようなものがありますが、いずれも軽微なことが多いです。
副作用のあらわれ方は人それぞれです。下記以外の副作用が出ることもあり得ます。

不眠 食欲不振 体重減少 頭痛 吐き気 胃の不快感 不安 イライラ感

ストラテラ(非刺激薬)

ストラテラ(一般名:アトモキセチン)は、選択的ノルアドレナリン再取り込み阻害薬と呼ばれる薬剤の一つです。ストラテラは、脳内のノルアドレナリンの濃度を上昇させるはたらきがあります。

また、ストラテラはADHDにおける不注意、多動、衝動性のすべてに有効です。
製薬会社であるイーライリリー社の試験においては、391人のADHD患者を対象として、ストラテラ(1日1回、40~120mg/日)を10週間投与した際における症状の変化を観察しました。
その結果、不注意症状、多動性・衝動性症状に改善がみられたことがわかりました。また、対人関係などQOL(生活の質)の変化も見られました。

ストラテラのメリット・効果

ストラテラの特徴としては、効果が持続的であることが挙げられます。
コンサータを朝に服用した場合、原則として夕方~夜間までの効果しか見られないことと対照的でです。
依存や乱用のリスクがほとんどない点もメリットとして挙げられます。

デメリットとしては、効果があらわれるまでに時間がかかることです。
ストラテラによって治療を行う場合には、初期に吐き気など消化器系の副作用があらわれることがあるため、
時間をかけて増量していく必要があるからです。

成人においては1日20~40mgから開始し、有効量である80~120mgまで増量していくのが一般的です。
ストラテラは、初期量が40mgと規定されていますが、吐き気などの副作用が出やすい人もいるため、少量から服用を開始することが望ましいです。
また、増量は1~2ヶ月かけて行うことが多く、有効量に達してからも、実際の効果が自覚されるまでに時間がかかることも多いです。

ストラテラの副作用

ストラテラの副作用として、以下のようなものがよくみられます。
その他の副作用も考えられますし、どの副作用があらわれるか、また、副作用の程度は人それぞれです。

吐き気 口渇(口の渇き) 頭痛 食欲不振 めまい 眠気 便秘 発汗 性欲減退 不眠 イライラ

イーライリリー社の臨床試験の結果から、吐き気、口渇などの消火器症状が最も多く、頭痛も比較的多いことがわかっています。眠気や逆に不眠を訴えるケースもあります。

また、消化器系の副作用は服用初期に多く、服用12週以降はかなり減少することもわかっています。
吐き気により投与中止にいたった例は4.3%であったことを考慮すると、ストラテラの副作用は軽微なものであると考えられます。

ストラテラのダイエット効果【痩せるって本当?】
ストラテラを飲むと「痩せる」「ダイエット効果がある」といったことがいわれることがありますので、今回は、私の経験談も踏まえてこの件に少し言及してみようと思います。 ストラテラにダイエット効果があるというのは本当なのか、また、ダイエット目的で...

まとめ

これまで述べたように、海外においても日本においても、ADHDにおける薬物療法はコンサータとストラテラが治療薬の中心となっています。
両者の効果はほぼ同等と考えられており、欧米の治療ガイドラインでは、このどちらかの薬を選択することが原則となっています。

まずはいずれか一方の薬物を第一選択薬として投与し、十分な効果が見られなかった場合、もう一方の薬物に切り替えることが一般的です。
即効性を求める場合はコンサータを主剤として選択しますが、依存のリスクのあるケースや過去に精神病症状の既往のあるケースには、ストラテラの使用が安全性が高いと考えられます。

投薬の継続期間に関しては、現状では定説はないが、少なくとも半年から1年以上は投与を継続すべきだという意見が有力です。
また、ADHDの症状は症状に応じて変化する部分が大きいため、薬物療法においては、本人の生活状況を考慮することが重要です。

自分に合った薬を見つける

最初に処方されたADHDの治療薬で、約75%の人が効果を感じます。
生まれて初めて、何の問題もなくいろいろなことができるようになって驚いたり、もっと早く薬を飲んでいればよかった…と思うほどに効果を実感することもあります。
もし、すぐに効果を感じられなかったとしても、ほかの薬、摂取方法、用量があるので、自分に合った処方が見つかるまであきらめないことが大切です。薬の効果は人それぞれなので、医師がその人にぴったり合った薬の種類や量を見つけて処方するのは簡単なことではないのです。

医療においては、重大な疾患や命の危険性のある疾患から優先して治療を行います。
ADHDであっても、重度のうつ病や双極性障害がある場合は、そちらの治療が優先されます。

ちょうどよい処方量を見つける

ADHDの症状がほどよく改善される処方量は人によって異なります。少量で効果を感じられる人もいれば、通常量以上飲まなければ効果が感じられない人もいます。

まずは少量から服用を開始し、すこしずつ量を増やしていき、十分な効果が感じられるか、または副作用がひどくてそれ以上増やせない限度量を見つけます。

ちょうどよい処方量がみつかるまでは、我慢が必要です。2~3週間で見つかる場合もあれば、1~2か月かかる場合もあります。

タイトルとURLをコピーしました